おけもん式ストレングス入門

戦略的思考力 / Strategic Thinking

未来志向

FUTURISTIC

まだ建っていないものが、いちばんはっきり見えている人へ。

引っ越し先の間取り図で、まだ届いていないソファの向きを三通り描いている。荷物はひと箱も運んでいないのに、窓際で本を読む休日の朝まで見えています。未来志向が先に受け取るのは、部屋の明るさです。

資質徹底解説シリーズ 31 / 2026年9月版 / 読むのに約10分(詳細を開くと+3分)

3分で読むなら01のあるあると、02のチェックだけ。 10分なら05の書き込み欄まで。 他の33資質を見る

このページの並び(6つ)
  1. 01 この資質の人に、起きていること
  2. 02 日なた側と、地下室側
  3. 03 隣の資質と、見分ける
  4. 04 いらっ・もやっポイントになるかも?
  5. 05 今日から、できること
  6. 06 未来志向を持つあなたへ
01

この資質の人に、起きていること

毎朝そばを通る空き地の前で、一秒だけ足の速度が落ちます。更地のままなのに、そこに小さなパン屋が建って、朝の列ができている絵が、もう頭の中で出来上がっています。

そのパン屋の話を隣の人にすると、「いや、建たないよ」で会話が終わります。こちらはもう、朝の列に並んでいる自分の位置まで決めていました。終わったのは会話のほうで、絵は残ったままです。

けれど、逃げているわけではありません。景色がはっきりするほど、その日の一歩は軽くなります。

たとえば、旅でいちばん楽しいのが出発前の夜だったりするのも同じ仕組みです。時刻表と地図を並べている時間に、旅はもう半分始まっています。

Gallupが未来志向を置いているのは、戦略的思考力(Strategic Thinking)のドメインです。同じ並びの中で、まだどこにも無いものを見ているのは未来志向だけです。

未来の絵は、逃げ場ではなく燃料です。景色が鮮やかに見えた日は、今日やることのほうまで、たいてい一緒に決まっています。

心当たりがあるかどうかは、この4つで

  • 引っ越しの前、まだ何も運んでいない部屋の家具の配置を、頭の中で三通り並べ終えている。 実際に置くのは一通りなのに、残りの二つも捨てずに覚えている。 配置そのものより、その部屋で過ごす朝が先に見えています。この見え方には、下のNeedの行が効いてきます。
  • 旅の支度をしながら、いま作っているしおりがいちばん楽しいことに気づく。 帰ってきた日の記憶より、路線図を開いていた夜を長く覚えている。 行ってしまえば終わる、という寂しさが少し混じるなら、たぶん当たりです。
  • 近所の子が十年後にどんな顔で笑っているかを話して、「気が早い」と返される。 急かしているつもりはなく、そこまで見えたから口に出しただけ。 同じものが見えていて、見える時点だけが少し早い。そういう早さです。
  • まだ誰も使っていない道具の話を聞くと、それが当たり前になった街の様子まで一息に浮かぶ。 仕組みの説明より、その後に変わる景色に耳が向いている。 話しているうちに相手の目が変わる、あの瞬間がいちばんうれしかったりします。
Gallup公式の言葉で確かめる(才能の5つの手がかり/Bring・Need)

才能はどこに出るのか。Gallupが置いている目印が「5つの手がかり」です。惹かれるもの・覚えが早いこと・没入・一瞬の卓越・深い満足。

まだ形の無い企画の話になった途端に眠気が飛んだことがあるなら、そこで出ていたのは「惹かれるもの」と「没入」でしょう。

いくつ当たったかより、そこで何が動いていたかを見ます。公式にはもう一つ、34資質ぶんの Bring/Need という短い一文があります。

Bring:もたらすもの 予告、予測、見通し

previews, predictions, forecasts

Need:必要とするもの 見えている未来を語る機会

opportunities to talk about the foreseen future

出典:Gallup公式 Bring and Need Statements for All 34 Themes(戦略的思考力/Futuristic)

「見えている未来を語る機会」。公式が動詞に「語る」を選んでいるところが要点です。頭の中に置いたままでは、この資質は満タンになりません。

使いどころが2つあります。ひとつは、地下に落ちる前の目印として。ここ数週間で先の話を声に出した場面が思い出せないなら、切れているのは補給のほうです。

もうひとつは、自分を説明するときの一行として。「予告、予測、見通しを持ち込む」は公式レポート由来なので、提案書にもプロフィール欄にも盛らずに置けます。

なお、Needが正反対の資質が同じ人の上位に並ぶことがあります。公式の例は、調和性の「合意点が要る」と指令性の「挑戦と対立が要る」。

Gallupはこれを矛盾として扱いません。どちらかを削るのではなく、両方に出口を用意する形で見ます。

たとえば慎重さが同じ上位に並ぶなら、景色を広げる時間と、その穴を潰す時間を、別々の曜日に置きます。

02

日なた側と、地下室側

同じ一枚の絵が、人の足を動かす燃料になることも、今日を退屈にする重しになることもあります。この出方の差を、Gallupはバルコニーとベースメントと呼び分けます。

バルコニーは、そのテーマの良い出方。ベースメントは、誤用・不健全・意欲が落ちた状態での出方=「潜在的な脆弱性」。

any strength used in an unhealthy manner can sometimes be a weakness

出典:Gallup公式(Balcony and Basement)/当サイトの整理ノート

バルコニー(日なた側) 描いた絵が、隣の人の目にも映っている。
ベースメント(地下室側) 絵ばかりが増えて、今日の一歩が置き去りになっている。
入れ替わるのは資質そのものではありません。変わるのは、その日いた階です。下のチェックは、ここ最近どちらの階で過ごしていたかを見るために置いています。

日なた側(バルコニー)

力がプラスに働いていた時の出方です。

地下室側(ベースメント)

同じ力が、今日から離れていった時の出方です。

日なた側 0 / 4 地下室側 0 / 4

まだ印がついていません。ここ1〜2週間を思い出しながら、心当たりのある行に触れてみてください。

地下室から上がる、公式の出口は2つです

  • 満たされていないニーズを、先に見る

    資質が地下に落ちるのは、その資質のニーズが満たされていない時が多い、とGallupは言っています。

    未来志向のニーズは「見えている未来を語る機会」。語る場の無い週が続くと、絵は外へ出ないまま頭の中で増え、今日の作業だけが色を失っていきます。

    やる気の量を疑う前に、この2週間で先の話を声に出した場面があったかを思い出すほうが早いです。

  • 別の資質のバルコニーを出す

    公式の処方は「To avoid the basement of one theme, lean into another theme!」。ひとつのテーマの地下を避けるには、別の資質のバルコニーを出す。

    絵を描くのをやめる必要はありません。たとえば上位に目標志向があるなら、見えている景色から行き先を1本だけ選び、そこから先を語る場にします。機会は、そうやって自分の手で作れます。

03

隣の資質と、見分ける

よく似た顔で並ぶ4つと、見ている景色の位置を比べます。

未来志向と、並べると時間の立ち位置の違いが出る4資質。
資質見ているもの動き出す合図
未来志向まだ来ていない景色「こうなったら、面白い」
原点思考いまに至った道すじ「そもそも、どこから始まった?」
戦略性分かれ道の先「それなら、こっちの道」
着想離れたものどうしの共通点「それ、あれと同じじゃない?」
活発性まだ始まっていないこと「とりあえず、やってみよう」

表の中でいちばん近いのは戦略性です。資質図解ガイドの言い方では、未来志向は「ビジョンを描き、将来に目を向ける」、戦略性は「未来への道筋を考え、選択肢を探る」。

どちらも先を向いていますが、手に持っているものが違います。戦略性が広げるのは分かれ道の地図、未来志向が広げるのは着いた先の景色の絵です。地図には道が要りますが、絵にはまだ要りません。

掛け合わせると、味が変わります

  • × 活発性

    見えた絵が、その日のうちに最初の一歩になります。描き終わる前に手が動くので、絵と現実の距離が縮みます。

  • × 達成欲

    遠い景色が、毎日のぶんに分解されます。一日ずつ積む形に翻訳されるので、途中で止まりにくい。

  • × コミュニケーション

    頭の中の景色が、人に見える言葉になります。同じ絵でも、届く範囲がひと回り広くなります。

「夢見がちだね」と言われたときは

  • 夢見がちだと言われる今日の燃料を先に作っている
  • 現実を見ていないと言われる現実の三年先を見ている
  • 口ばっかりだと言われる描き終わる前に口が動いた
  • 気が早いと言われる先に景色が届いてしまった
Gallup公式の言葉で確かめる(弱みの定義/弱みの扱い方4つ)

弱みとは、あなたの成功の邪魔をするものすべて。

Gallup defines a weakness as anything that gets in the way of your success.

下位の資質も邪魔をしうる。ただし、それらは必ずしも弱みではない。単に、自然には出てこないだけ。

出典:Gallup公式 What Is a Weakness?/当サイトの整理ノート

未来志向が上位にあっても、描いた絵に自分の足が追いつかない、と話す人がいます。セッションでの言い方は、こうでした。

「イメージが先行しちゃいすぎて現実がついてない。いい未来を描きすぎるから」

絵と足のあいだに、何段の階段が要るか。話はそこに尽きます。描く量は、今のままで構いません。

出典:おけもんのセッションでの観察。個人が特定できる内容は載せていません。

34位のそばにある資質は、欠けている場所ではありません。呼ばないと出てこないだけです。

自分の弱みかは公式の3つで見ます。①成功を損ねたことがあったか。②ネガティブなフィードバックを受けたことがあるか。③役割上使うが、使うと消耗するか。

扱い方も、公式が4つ置いています——Claim them(知る)/Collaborate(支えを頼む)/Apply a strength(別の資質で同じ結果へ)/Just do it(腹をくくる)。

「弱みに投資しても、強みには決してならない」。公式が用意しているのは、扱う道のほうです。

レポートにも一行あります——「あるドメインに上位資質がなくても心配いりません」。ほかのドメインの資質を使って、同じ場所へ着いているだけです。

04

いらっ・もやっポイントになるかも?

資質は、うまくいった時だけでなく、大事にしているものが通らなかった時にも顔を出します。未来志向の場合、それはたいてい、先の話をする場所がふさがれた時です。

ここに並ぶのは「そうなりやすいかも」という目安です。当てはまらない行があっても、未来志向が弱いということではありません。

こんな時、もやっ・いらっとしやすいかも

  • 会議が「去年はこうだった」の振り返りだけで終わって、先の話が一度も出ないと、もやっとするかも。 振り返りが嫌なのではなく、その先を話す時間が残らなかったことに反応しています。
  • 新しい案を出した時に「前例がないから」で止められると、いらっとするかも。 02の地下室側のチェックにも、同じ行があります。止まったのは案より、景色を語る場のほうです。
  • ワクワクしながら話した先の話を、「現実を見なよ」「どうせ無理」で閉じられると、しゅんとするかも。 可能性を狭める言葉は、この資質にはひときわ強く届きやすいようです。
  • 「今のままで十分でしょ」という空気が長く続く場所にいると、だんだん息苦しくなるかも。 止まっていること自体が、じわじわ重く感じられやすい資質です。

その奥にある、ほんとは大事にしたかったこと

もやっとした場面を裏返すと、守りたかったものが出てきます。

  • 振り返りだけで会議が終わった次にどうなったら面白いかを、一緒に話したかった
  • 「前例がない」で止められたまだ無いものを、最初に形にしてみたかった
  • 「どうせ無理」で閉じられた見えている景色を、誰かと一緒に眺めたかった

もやっとした時の問い

  • ほんとは、どんな未来の話をしたかった?

    止められた案の、いちばん先に見えていた景色を1行で書いてみます。できるかどうかは、いったん横に置いて構いません。

  • その景色のいちばん手前の一枚は、どうやったら今週できる?

    前例が無いなら、小さな前例を自分で1つ作る。語る場が無いなら、聞いてくれる1人を先に決める。やり方は、たいてい一つではありません。

もやっ・いらっは、未来志向が大事なものを教えてくれている合図です。感じたこと自体に、良い悪いはありません。「こんなことでもやっとするなんて」と責めるより、「へぇ、ここが大事だったんだ」と眺めるほうが、自分とは仲良くなれます。

ノートに1行書くなら、この形で。「もやっ → ほんとは___したかった。反応してたのは未来志向かも」

05

今日から、できること

変えるのは絵の大きさではありません。絵と明日のあいだに、一段目の階段を掛けるだけです。三年後が鮮やかなほど、来月の一手は決めやすくなります。

  • 「いつかこうなったらいいな」を、「3年後にこうなってたら最高。そのために来月、まず何を1つ?」に言い換える

    描いている景色は同じです。変わるのは、聞いた相手が返事のしようを持てるかどうか。最後に一段だけ足すと、話が相談に変わります。

  • 週に一度、先の話を聞いてもらう相手を1人決めておく

    公式のNeedは「見えている未来を語る機会」。機会は待っていても来ないので、曜日のほうを先に決めてしまいます。

    同じ絵が見える人でなくて構いません。うなずいてくれる相手が1人いれば、補給としては足ります。

  • 見えた景色から、今週やる一つだけを切り出す

    空き地にパン屋が建つ絵が浮かんだなら、今週は好きなパン屋を一軒だけ見に行く。いちばん手前の一枚だけを、先に実物にします。

書いて持ち帰る(理解する!/受容する!/活用する!)

Gallup公式の3段階です。公式は、資質を理解したところで止まる状態を「Name it のループ」と名指しして、失敗として扱っています。埋まらない行は、空けたままで構いません。

理解する!(NAME IT!)

この資質の説明の中で、強く共感できる説明は何ですか?

このページから1行、そのまま抜いてきてください。

受容する!(CLAIM IT!)

この資質が、過去、あなたの成功に役立ったのはいつですか?

公式の定義は「行動に表れた自分の才能を認識し、感謝する」。思い出すだけでは半分です。

活用する!(AIM IT!)

これからもっと意図的にこの資質を利用できる方法を2つ挙げてください。

公式はこの手前に「どこへ行きたいか。あなたにとっての卓越とは何か」を置いています。

これから育てるもの

上の3つを見て、これから育てると決めたことを1つだけ書いてください。

1つで足ります。十個思いつけるのがこの資質の楽しいところですが、十個書いた月は、たいてい一つも残っていません(笑)

書いた内容は、この端末のブラウザにだけ残ります

未来志向を持つ、あなたへ

間取り図に描いた三通りのうち、実際に置いたのは一通りです。残りの二つの景色をいまも覚えているのは、たぶん自分だけだと思います。

見えている景色を、誰も一緒に見てくれない。未来志向を持っていると、この感じと長く付き合うことになります。説明を足すほど熱量だけが濃くなって、肝心の景色は渡らない。

渡らなかったのは絵が大きすぎたからではなく、いちばん手前の一枚がまだ描けていないだけかもしれません。全景の代わりに手前の一枚を出すと、相手の目が同じところを向くことがあります。

一枚残らず渡そうとしなくて大丈夫です。いま頭の中でいちばん鮮やかに見えているのは、どんな景色でしょうか。そのいちばん手前にある一つは、今週のどこに置けますか。

資質徹底解説シリーズ / 31 未来志向(Futuristic)・2026年9月版

このページが使っている一次情報

  • Gallup公式 34 CliftonStrengths Themes(未来志向=Futuristic/戦略的思考力)
  • Gallup公式 Bring and Need Statements for All 34 Themes(Bring/Need の原文)
  • Gallup公式 How to Develop Strengths/What Is a Weakness?(弱みの定義・管理4法)
  • Gallup公式 日本語版ワークシート「理解する!/受容する!/活用する!」(Name it / Claim it / Aim it)

このほかに、当サイトで使っている「資質図解ガイド」(34資質の要約メモ)を参照しています。これはGallup公式の資料ではなく、当方の整理です。

本文でそこから引いた箇所は「資質図解ガイドの言い方では」と書き分けています。日本語訳は当方のもの、英語を併記した箇所はGallupの表記そのままです。