おけもん式ストレングス入門

実行力 / Executing

回復志向

RESTORATIVE

直せるところが、先に見えてしまう人へ。

壊れた家電を前にして、電源より先に裏ぶたのネジを探してしまう。回復志向の一日は、たいていそこから始まります。 粗探しに見えてしまうその手つきを、このページでは最初の一手のほうから追いかけます。

資質徹底解説シリーズ 01 / 2026年9月版 / 読むのに約9分(詳細を開くと+3分)

3分で読むなら01のあるあると、02のチェックだけ。 10分なら05の書き込み欄まで。 他の33資質を見る

このページの並び(6つ)
  1. 01 この資質の人に、起きていること
  2. 02 日なた側と、地下室側
  3. 03 隣の資質と、見分ける
  4. 04 いらっ・もやっポイントになるかも?
  5. 05 今日から、できること
  6. 06 回復志向を持つあなたへ
01

この資質の人に、起きていること

感動的な映画の途中で、字幕の誤字のほうに目が止まる。回復志向はそういう見え方をします。それが道の途中で「ネガティブな人」に置き換わって伝わります。

けれど順番は逆で、最初に感じているのは「嫌だな」ではなく「ここ、直せるな」です。 整備士が「パッド、そろそろですね」と言うのと同じで、その人は車を貶していません。明日も走らせるためです。

Gallupは回復志向を、実行力(Executing)の資質に置いています。考える部屋ではなく、工具箱が置いてある部屋です。 見つけた時点で、もう直しはじめている。ネガティブだと受け取られる原因は、たいていこの速さのほうにあります。

心当たりがあるかどうかは、この4つで

  • 感動的な映画を観ているのに、字幕の誤字が目に入って、一瞬ストーリーが飛ぶ。 泣くつもりで来たのに、脳の一部が校正を始めてしまう。 探しに行った覚えはないのに、勝手に目に入ってくる。
  • 行列のカフェに並びながら、頭の中で勝手にコンサルが始まる。 「レジをあと1メートル奥に寄せたら、この列、5分は短くなるのにな」。 並んでいるだけの15分が、勝手に改善案の時間に変わっています。
  • 「順調です、問題ありません」と報告を受けると、なぜかソワソワする。 何も起きていないことのほうが落ち着かない。 これは疑り深いのとは違って、直す相手がいないと手が余るだけです。あとで出てくる Need の話につながります。
  • 誰かの困った話を聞くと、気づいたら一緒に手順を書き出している。 「それ、どこで詰まってるの?」が先に口から出る。 慰めるより先に直しにいく。解決したあとの疲れが心地よかったら、たぶん当たりです。
Gallup公式の言葉で確かめる(才能の5つの手がかり/Bring・Need)

Gallupは才能の見つけ方に「5つの手がかり」を置いています。惹かれるもの・覚えが早いこと・没入・一瞬の卓越・深い満足。

壊れた家電を前に、考えるより先に手が動いていたなら、そこで出ていたのは「惹かれるもの」と「没入」でしょう。上の4つが当たった数より、そのとき何が動いたかが手がかりです。

そのうえで、公式には34資質ぶんの Bring/Need という一文があります。回復志向のぶんとして公式が置いているのは、この2行です。

Bring:もたらすもの 問題のある状況への勇気と創造性

courage and creativity to problematic situations

Need:必要とするもの 解かれるべき問題

problems that must be solved

出典:Gallup公式 Bring and Need Statements for All 34 Themes(実行力/Restorative)

置き場所は2つ。ひとつは、地下室に落ちる前の目印として。「解かれるべき問題」が無い場所で元気が出ないなら、気分ではなく直す相手がいないだけかもしれません。

もうひとつは、名乗るときのひと言として。出どころが公式レポートなので、プロフィール欄にも提案書にも、盛らずにそのまま貼れます。

なお、Needが正反対の資質が同じ人の上位に並ぶことがあります。公式の例は、調和性の「合意点が要る」と指令性の「挑戦と対立が要る」。

Gallupはこれを矛盾として扱いません。どちらかを削るのではなく、両方に出口を用意する形で見ます。

02

日なた側と、地下室側

直したい気持ちは同じでも、向く先が外の困りごとの時と、自分自身の時があります。Gallupはこの向き先の違いを、バルコニーとベースメントと呼び分けます。

バルコニーは、そのテーマの良い出方。ベースメントは、誤用・不健全・意欲が落ちた状態での出方=「潜在的な脆弱性」。

any strength used in an unhealthy manner can sometimes be a weakness

出典:Gallup公式(Balcony and Basement)/当サイトの整理ノート

バルコニー(日なた側) 直せる場所まで、手が伸びている。
ベースメント(地下室側) 同じ手が、自分の粗を削りにかかっている。
変わるのは資質そのものではなく、その日の出方です。下のチェックは、どちらの階に足が向いていた時期かを見るためのものです。

日なた側(バルコニー)

力がプラスに働いていた時の出方です。

地下室側(ベースメント)

同じ力が、自分の側に向いてしまった時の出方です。

日なた側 0 / 4 地下室側 0 / 4

まだ印がついていません。ここ1〜2週間を思い出しながら、心当たりのある行に触れてみてください。

地下室から上がる、公式の出口は2つです

  • 満たされていないニーズを、先に見る

    資質が地下に落ちるのは、その資質のニーズが満たされていない時が多い、とGallupは言っています。

    回復志向のニーズは「解かれるべき問題」。直す相手がいない場所に長く置かれると、矛先が自分に向きます。行動を矯正するより先に、直しがいのある問題がいま手元にあるかどうかを見るほうが早いです。

  • 別の資質のバルコニーを出す

    公式の処方は「To avoid the basement of one theme, lean into another theme!」。ひとつのテーマの地下を避けるには、別の資質のバルコニーを出す。

    回復志向にふたをしなくていい。上位にある別の資質を1つ選んで、そちらを先に動かします。

03

隣の資質と、見分ける

似ていると言われる資質を、見ているものと動き出す合図で分けます。

回復志向と、似ていると言われやすい4資質。
資質見ているもの動き出す合図
回復志向壊れているところ「これ、直せる」
最上志向すでに良いところ「これ、もっと良くなる」
ポジティブ明るいところ「まず、楽しくしよう」
分析思考根拠「その数字、どこから?」
慎重さこれから起きうること「先に潰しておこう」

いちばん近いのは最上志向です。ゼロより下をゼロに戻すのが回復志向、ゼロから上へ磨くのが最上志向。同じ「良くする」でも、始まりの地点が違います。

掛け合わせると、味が変わります

  • × 共感性

    「つらいね」で終わらず、「どこが痛いんだろう」まで一緒に降りていけます。

  • × 戦略性

    こじれた案件でも、詰まっている一点を見つけて軌道に戻せる。直し方の選択肢が増えます。

  • × 最上志向

    マイナスをゼロに戻す力と、ゼロをプラスに磨く力。両方を持つと、直したあとに「ついでにここも良くしとくね」まで届きます。

「ネガティブだね」と言われたときは

言われる言葉と、そのとき内側で起きていること。

  • ネガティブだと言われる良くしたいから、先に目に入る
  • 批判的だと言われる直し方まで手元にある
  • 完璧主義だと言われる壊れたまま出したくない
  • 良いところを見ないと言われる改善の余地が先に見えている
Gallup公式の言葉で確かめる(弱みの定義/弱みの扱い方4つ)

弱みとは、あなたの成功の邪魔をするものすべて。

Gallup defines a weakness as anything that gets in the way of your success.

下位の資質も邪魔をしうる。ただし、それらは必ずしも弱みではない。単に、自然には出てこないだけ。

出典:Gallup公式 What Is a Weakness?/当サイトの整理ノート

34位のそばにある資質は、壊れている場所ではありません。放っておくと出てこないだけです。

回復志向が下のほうにある人が、「すでに壊れているものを直す」仕事にどうしても気持ちが動かないと話すことがあります。やる気でも能力でもなく、配線の向きが違うだけ、という見方ができます。

出典:おけもんのセッションでの観察。個人が特定できる内容は載せていません。

自分の弱みかは公式の3つで見ます。①成功を損ねたことがあったか。②ネガティブなフィードバックを受けたことがあるか。③役割上使うが、使うと消耗するか。

扱い方も4つ決まっています——Claim them(知る)/Collaborate(支えを頼む)/Apply a strength(別の資質で同じ結果へ)/Just do it(腹をくくる)。

「弱みに投資しても、強みには決してならない」。だから公式が置いているのは、鍛える道ではなく、扱う道のほうです。

レポートにも短く書いてあります——「あるドメインに上位資質がなくても心配いりません」。別のドメインの資質で同じ場所に着いているだけです。

04

いらっ・もやっポイントになるかも?

資質は、うまくいった時だけでなく、大事にしているものが通らなかった時にも顔を出します。回復志向の場合、それはたいてい、直せそうなところが、直されないまま置かれている時です。

ここに並ぶのは「そうなりやすいかも」という目安です。当てはまらない行があっても、回復志向が弱いということではありません。

こんな時、もやっ・いらっとしやすいかも

  • 毎回同じところで詰まるのに、「まあ仕方ないよ」でそのままにされると、もやっとするかも。 最初に感じているのは「嫌だな」ではなく、「ここ、直せるな」のほうかもしれません。
  • トラブルのたびに謝って終わりにして、なぜ起きたのかには誰も触れない会議だと、いらっとするかも。 表面を拭くだけで、根っこが残ったままなことに反応しているようです。
  • どこで詰まっているのか分からないまま「とりあえず進めよう」と言われると、落ち着かなくなるかも。 詰まっている場所が見えないと、手をどこに入れればいいのか決まらないのかもしれません。
  • 相談された困りごとに解決策を出したのに、「聞いてほしかっただけ」と言われると、しゅんとするかも。 慰めるより先に、直しにいく手が動きやすい資質です。

その奥にある、ほんとは大事にしたかったこと

もやっとした場面を裏返すと、守りたかったものが出てきます。

  • 「仕方ない」でそのままにされたまだ直せるところに、ちゃんと手を入れたかった
  • 謝って終わりの会議が続いた次は起きないように、根っこから一緒に直したかった
  • 出した解決策が届かなかった困っている人を、ほんとうに楽にしてあげたかった

もやっとした時の問い

  • ほんとは、どこを直したかった?

    引っかかった場面の「ここ、直せるな」を1つ書いてみます。直せるかどうかは、あとで考えれば大丈夫です。

  • 直したい気持ちを、どうやったら相手に合う形で渡せる?

    先に「一緒に直す?それとも聞くだけ?」と聞いてみる。手が余る時は、家の小さな不具合を1つ直してみる。やり方は一つではありません。

もやっ・いらっは、回復志向が大事なものを教えてくれている合図です。感じたこと自体に、良い悪いはありません。「こんなことでもやっとするなんて」と責めるより、「へぇ、ここが大事だったんだ」と眺めるほうが、自分とは仲良くなれます。

ノートに1行書くなら、この形で。「もやっ → ほんとは___したかった。反応してたのは回復志向かも」

05

今日から、できること

直せる腕は、たぶんもう足りています。ここから変わるのは、その腕をどこへ向けるかのほうです。 たとえば、人の相談を最後まで自分が解いてしまう手を、まだ誰も手をつけていない問題へ回す。向け直しを試す欄を、3つ置きました。

  • 気づきと直し方を、同じ息で言う

    「ここダメだよね」を、「ここ、こうすれば良くなると思うんだけど」に変えるだけです。言っていることは1つも変えていないのに、相手には批判ではなく提案として届きます。

  • 「なんで?」を3回だけ掘る

    表面で止めず、「なんでこうなった?」「その原因は?」「本当の根っこは?」。3回でだいたい底が見えます。得意な掘り方に、深さの目安をつけるイメージです。

  • 直さずに見守る枠を、1日ひとつ

    「これは相手に任せる」と決めた1件を、今日ひとつ選びます。手を離すのが怖いのは、こけてほしくないからです。全部を自分が直さなくても、たいてい回ります。

書いて持ち帰る(理解する!/受容する!/活用する!)

Gallup公式の3段階です。読んで分かった状態を、公式は「Name it で止まっている」と呼んで失敗として名指しします。当てはまらない行は空けたままで大丈夫です。

理解する!(NAME IT!)

この資質の説明の中で、強く共感できる説明は何ですか?

このページから1行、そのまま抜いてきてください。

受容する!(CLAIM IT!)

この資質が、過去、あなたの成功に役立ったのはいつですか?

公式の定義は「行動に表れた自分の才能を認識し、感謝する」。思い出すだけでは半分です。

活用する!(AIM IT!)

これからもっと意図的にこの資質を利用できる方法を2つ挙げてください。

公式はこの手前に「どこへ行きたいか。あなたにとっての卓越とは何か」を置いています。

これから育てるもの

上の3つを見て、これから育てると決めたことを1つだけ書いてください。

1つで足ります。3つ書くと、たいてい1つも残りません(笑)

書いた内容は、この端末のブラウザにだけ残ります

回復志向を持つ、あなたへ

直ったものは、直る前の顔を覚えていません。防いだ事故は起きなかったことになり、直した手順書は「最初からこうだった」という顔で棚に戻ります。褒められにくいのは、そういう仕事だからだと思います。

ただ、あなたが飲み込んだ日のことも、どこにも出てきません。誰も触れないまま動き続けたものが、いつか止まるだけです。

だとしたら、疑うところは見えてしまう目のほうではないのかもしれません。先に見えるのは欠陥ではなく、ここから直せるという合図です。言うか言わないかは、見えたあとで選べます。

口に出す前の一拍を、自分に許してみてください。工具を出す前に一度だけ相手に見せるみたいに、その一拍を挟んだ一言は、直したい相手の側にも届きます。

資質徹底解説シリーズ / 01 回復志向(Restorative)・2026年9月版

このページが使っている一次情報

  • Gallup公式 34 CliftonStrengths Themes(回復志向=Restorative/実行力)
  • Gallup公式 Bring and Need Statements for All 34 Themes(Bring/Need の原文)
  • Gallup公式 How to Develop Strengths/What Is a Weakness?(弱みの定義・管理4法)
  • Gallup公式 日本語版ワークシート「理解する!/受容する!/活用する!」(Name it / Claim it / Aim it)

このほか、当サイトの「資質図解ガイド」(34資質の要約メモ)も手元に置いて作りました。これは公式資料ではなく当方の整理です。

このページの本文で、そこから引いた箇所はありません。日本語訳は当方のもの、英語を併記した箇所はGallupの表記そのままです。