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このページの並び(6つ)
この資質の人に、起きていること
映画館で、まわりがまだ静かなうちに自分だけ鼻をすすっていた。あの時、泣こうと決めた記憶はたぶんありません。届いてしまったものに、体のほうが先に返事をしていました。
優しさは選べます。相手のために時間を使おう、と決めてから動く。共感性で起きているのは、その手前です。選んでいないのに届いてしまう。
たとえば、疲れている人にコーヒーを出すのが優しさで、その人の疲れに先に気づいてしまうほうが共感性です。
同情とも少し違います。同情は相手の外に立って気の毒に思うことで、共感性は相手の温度がこちらの体に来ること。
賛成しているかどうかは、まだ関係ありません。言い分に納得できないまま、しんどさだけが伝わってくる日もあります。
Gallupは共感性を、人間関係構築力(Relationship Building)の資質に置いています。人と人をつなぐ側の中でも、感情のほうを通す線です。
相手の気持ちは、察しにいく前にもう届いている。察するという言葉がどこか合わないのは、たぶんそのせいです。
心当たりがあるかどうかは、この4つで
- ドラマの登場人物が泣く前に、こちらが先に泣いている。 その人の声がわずかに変わった瞬間に、もう来ている。 物語に入り込んでいるというより、声や間のほうが先に届いています。
- グループLINEの5文字に、既読をつけたまま何分も画面を見ている。 「了解です」の点ひとつが、いつもと違う気がする。 深読みしにいく前に、温度のほうが文字より先に見えています。
- 電車で隣に座った人の落ち着かなさが、なぜかこちらの肩に来る。 名前も知らない相手なのに、貧乏ゆすりが止まるまで自分も座り直せない。 想像というより、勝手に入ってくる感覚に近いはずです。
- 楽しかった集まりの帰り道、ひとりになった瞬間に急に疲れが出る。 嫌なことは何もなかったのに、座ったら何も考えられなくなる。 これは人見知りとは違って、受け取った分をまだ下ろせていないだけです。
Gallup公式の言葉で確かめる(才能の5つの手がかり/Bring・Need)
帰り道が重くなる理由は、下の Need の2行目です。Gallupが才能の見つけ方に置いた「5つの手がかり」は、惹かれるもの・覚えが早いこと・没入・一瞬の卓越・深い満足。
たとえば、はじめて会った人の様子が、数分でなんとなく分かってしまったなら、そこで出ていたのは「覚えが早いこと」でしょう。
そのうえで、公式には34資質ぶんの Bring/Need という一文があります。共感性のぶんは、この2行です。
Bring:もたらすもの 感情的知性
emotional intelligence
Need:必要とするもの 笑い、泣き、吐き出す自由
freedom to laugh, cry, vent
出典:Gallup公式 Bring and Need Statements for All 34 Themes(人間関係構築力/Empathy)
Bring が「知性」と訳せる言葉になっているのは、たぶん偶然ではありません。
Need のほうを見てください。この行に書かれているのは、入ってくる量を減らすことではなく、受け取ったものを出す側です。
この2行は2か所で効きます。ひとつは、地下室に落ちる手前の目印として。感情を出せない場所にいる時期だけ苦しいなら、原因は心の強さとは別のところにあります。
なお、Needが正反対の資質が同じ人の上位に並ぶことがあります。公式の例は、調和性の「合意点が要る」と指令性の「挑戦と対立が要る」。
Gallupはこれを矛盾として扱いません。どちらかを削るのではなく、両方に出口を用意して見ます。
共感性なら、事実だけで進む会議には座ったまま、感じたことを出せる相手を会議の外に1人持っておくのが出口です。
日なた側と、地下室側
同じ届きやすさでも、相手のほうへ返っていく日と、こちらに残ったままの日があります。Gallupはこの2つに、バルコニーとベースメントという名前をつけています。
バルコニーは、そのテーマの良い出方。ベースメントは、誤用・不健全・意欲が落ちた状態での出方=「潜在的な脆弱性」。
any strength used in an unhealthy manner can sometimes be a weakness
出典:Gallup公式(Balcony and Basement)/当サイトの整理ノート
日なた側(バルコニー)
力がプラスに働いていた時の出方です。
地下室側(ベースメント)
同じ力が、内側に溜まってしまった時の出方です。
日なた側 0 / 4 地下室側 0 / 4
まだ印がついていません。ここ1〜2週間を思い出しながら、心当たりのある行に触れてみてください。
地下室から上がる、公式の出口は2つです
-
満たされていないニーズを、先に見る
資質が地下に落ちるのは、その資質のニーズが満たされていない時が多い、とGallupは言っています。
共感性のニーズは「笑い、泣き、吐き出す自由」。感情を出すと場が乱れると扱われる場所では、受け取ったものの行き先がなくなります。
心が弱いのだと自分を責める前に、何を感じたかをそのまま言える相手がいるかを見るほうが早いです。
-
別の資質のバルコニーを出す
公式の処方は「To avoid the basement of one theme, lean into another theme!」。ひとつのテーマの地下を避けるには、別の資質のバルコニーを出す。
共感性にふたをする必要はありません。上位の別の資質を1つ選んで、溜まったものの出口をそちらに作ります。
公式のNeedにある「吐き出す」は、叫ぶことでなくてかまいません。たとえば上位に着想があるなら書く、社交性があるなら誰かに話す。
隣の資質と、見分ける
近いと言われる資質は、感情との距離が少しずつ違います。
| 資質 | 見ているもの | 動き出す合図 |
|---|---|---|
| 共感性 | 相手の感情 | 「いま、しんどそう」 |
| 個別化 | 一人ひとりの違い | 「この人には、これだ」 |
| 調和性 | 全員が立てる床 | 「そこ、たぶん同じこと言ってる」 |
| 包含 | 輪の外にいる人 | 「あの人も入れよう」 |
| 分析思考 | 根拠 | 「その数字、どこから?」 |
表の中でいちばん近いのは個別化です。個別化が読むのはその人の輪郭、共感性が読むのは今日の温度。輪郭は半年変わらなくても、温度は昼と夕方で違います。
表には入れていませんが、混ざりやすいのはコミュニケーションです。資質図解ガイドの言い方では、コミュニケーションは言葉で表現し、共感性は気持ちで寄り添う。
掛け合わせると、味が変わります
- × 分析思考
感じ取ったものを、事実や数字と並べて出せます。「気のせいでは」と流されにくい。
- × 包含
輪の外で黙っている人の感情に、いちばん早く気づけます。その場で席をひとつ空けられる。
- × 責任感
気づいた気持ちを引き取る方へ手が伸びます。どこまでが自分の役かを先に置かないと重くなる。
「気にしすぎだよ」と言われたときは
- 優しい人だねと言われる優しくしようと決めた覚えがない
- 感情的だと言われる考えるより先に、体のほうが受け取っている
- 気にしすぎだと言われる気にしにいく前に、もう入ってきている
- 何もしてないのに疲れてると言われる受け取ったものが、まだ言葉になっていない
Gallup公式の言葉で確かめる(弱みの定義/弱みの扱い方4つ)
弱みとは、あなたの成功の邪魔をするものすべて。
Gallup defines a weakness as anything that gets in the way of your success.
下位の資質も邪魔をしうる。ただし、それらは必ずしも弱みではない。単に、自然には出てこないだけ。
出典:Gallup公式 What Is a Weakness?/当サイトの整理ノート
34位のそばにある資質は、壊れている場所ではありません。放っておくと出てこないだけです。
セッションで、「共感性は育てたい、ちゃんと人の気持ちに寄り添える人になりたい」と話す方がいます。
冷たいのとは違って、感情が先に入ってくる配線ではなかっただけです。
出典:おけもんのセッションでの観察。個人が特定できる内容は載せていません。
自分の弱みかは公式の3つで見ます。①成功を損ねたことがあったか。②ネガティブなフィードバックを受けたことがあるか。③役割上使うが、使うと消耗するか。
扱い方も4つ決まっています——Claim them(知る)/Collaborate(支えを頼む)/Apply a strength(別の資質で同じ結果へ)/Just do it(腹をくくる)。
「弱みに投資しても、強みには決してならない」。だから公式が置いているのは、鍛える道ではなく、扱う道のほうです。
レポートにも短く書いてあります——「あるドメインに上位資質がなくても心配いりません」。別のドメインの資質で同じ場所に着いているだけです。
いらっ・もやっポイントになるかも?
資質は、うまくいった時だけでなく、大事にしているものが通らなかった時にも顔を出します。共感性の場合、それはたいてい、そこにある気持ちが無かったことにされた時です。
ここに並ぶのは「そうなりやすいかも」という目安です。当てはまらない行があっても、共感性が弱いということではありません。
こんな時、もやっ・いらっとしやすいかも
- 会議で誰かが泣きそうな顔をしているのに、「じゃあ次の議題」と進んでいくと、もやっとするかも。 議事の進め方より、その場の気持ちが置いていかれたことに反応しています。
- 職場で「仕事に感情を持ち込まないで」と言われると、息が詰まるかも。 笑ったり泣いたりを外に出せることが、この資質の呼吸のようになっていることがあります。
- 人事の話が数字の表だけで決まって、その人の事情が一言も出ないと、いらっとするかも。 数字が嫌なのではなく、その向こうにいる人の気持ちが見えないことに反応しています。
- 思い切って打ち明けた悩みに、「ふーん」とだけ返されると、しゅんとするかも。 相手の反応の温度を、この資質はひときわ細かく受け取りやすいようです。
その奥にある、ほんとは大事にしたかったこと
もやっとした場面を裏返すと、守りたかったものが出てきます。
- 泣きそうな人を置いて議題が進んだその人の気持ちに、ほんの少し立ち止まりたかった
- 「感情を持ち込まないで」と言われた笑ったり泣いたりを、隠さずに出していたかった
- 打ち明けた悩みに「ふーん」と返された気持ちを、気持ちのまま受け取ってほしかった
もやっとした時の問い
-
ほんとは、どの気持ちを大事にしたかった?
あの場で感じていた気持ちを、自分のぶんと相手のぶんに分けて1行ずつ書いてみます。言えたかどうかは、いったん横に置いて構いません。
-
気持ちを出せる場所を、どうやったら一つ手元に置ける?
職場で出しにくいなら、帰り道に話せる1人を決める。声にしにくい日は、ノートに書き出してみる。やり方は、たいてい一つではありません。
もやっ・いらっは、共感性が大事なものを教えてくれている合図です。感じたこと自体に、良い悪いはありません。「こんなことでもやっとするなんて」と責めるより、「へぇ、ここが大事だったんだ」と眺めるほうが、自分とは仲良くなれます。
ノートに1行書くなら、この形で。「もやっ → ほんとは___したかった。反応してたのは共感性かも」
今日から、できること
帰り道が重い日と、そうでもない日の差は、その日に何を受け取ったかではなかったりします。抱えたままにしたか、どこかで下ろせたか。その分かれ目を、下に置きました。
-
「大丈夫?」を、「いま、しんどそうに見えたんだけど、合ってる?」に変える
「大丈夫?」は、「大丈夫」としか返せない形をしています。
見えたものをそのまま渡すと、違うときは違うと言ってもらえます。
察したことを、そのまま確認に変える。やることはそれだけです。
-
受け取ったものを、その日のうちに1回どこかに下ろす
誰かに話す、3行だけ書く、声に出して言ってみる。
公式のNeedは「笑い、泣き、吐き出す自由」。出すところまでが1セットです。
-
先回りして動く前に、1つだけ聞く
気づいた瞬間に手が動きそうになったら、その前に「何があったら楽になりそう?」と1つだけ。
見えたものと、本人が要るものは、たまにずれます。
書いて持ち帰る(理解する!/受容する!/活用する!)
Gallup公式の3段階です。読んで分かった状態を、公式は「Name it で止まっている」と呼んで失敗として名指しします。当てはまらない行は空けたままで大丈夫です。
この資質の説明の中で、強く共感できる説明は何ですか?
このページから1行、そのまま抜いてきてください。
この資質が、過去、あなたの成功に役立ったのはいつですか?
公式の定義は「行動に表れた自分の才能を認識し、感謝する」。思い出すだけでは半分です。
これからもっと意図的にこの資質を利用できる方法を2つ挙げてください。
公式はこの手前に「どこへ行きたいか。あなたにとっての卓越とは何か」を置いています。
上の3つを見て、これから育てると決めたことを1つだけ書いてください。
1つで足ります。3つ書くと、たいてい1つも残りません(笑)
共感性を持つ、あなたへ
このページを作っていて、いちばん書きにくかったのがここでした。受け取る側の話はいくらでも書けるのに、受け取ったあとの帰り道だけは、どう書いても言葉が足りません。
それでも、感じないようにする練習は、たぶんうまくいきません。入ってくる量は決められないからです。決められるのは、受け取ったあとどこへ置くかだけです。
感情の行き先は、自分で1つ決めておくものなのかもしれません。笑う場所、泣く場所、吐き出す場所。公式のNeedにある「自由」は、そこを他人の許可制にしなくていい、という意味だと思います。
今日いちばん強く受け取ったのは、誰の、どんな気持ちでしたか。それをどこに置くかまで来て、この資質はひと続きになります。置き場所は、まだ決まっていなくても大丈夫です。
資質徹底解説シリーズ / 09 共感性(Empathy)・2026年9月版
このページが使っている一次情報
- Gallup公式 34 CliftonStrengths Themes(共感性=Empathy/人間関係構築力)
- Gallup公式 Bring and Need Statements for All 34 Themes(Bring/Need の原文)
- Gallup公式 How to Develop Strengths/What Is a Weakness?(弱みの定義・管理4法)
- Gallup公式 日本語版ワークシート「理解する!/受容する!/活用する!」(Name it / Claim it / Aim it)
このほかに、当サイトで使っている「資質図解ガイド」(34資質の要約メモ)を参照しています。これはGallup公式の資料ではなく、当方の整理です。
本文でそこから引いた箇所は「資質図解ガイドの言い方では」と書き分けています。日本語訳は当方のもの、英語を併記した箇所はGallupの表記そのままです。